最近話題になっている、北海道の寿都町が核のゴミの最終処分場候補地選定に応募したニュース。いくつか報道されている中で、気になったのがこの記事です。この記事は一見してくらすちばと関係があまりなさそうなニュースですが、引っかかったのが「過疎」「人口2900人」というキーワードでした。

寿都町では、財政難を理由に高レベル放射性廃棄物最終処分場候補地に応募する意向を表明しました。寿都町の財政状況を調べてみました。

地域経済分析システム(RESAS:リーサス)より

全国平均と比べるとかなり歪んだチャートとなっています。突出しているのが、「人口1人あたり人件費・物件費等の決算額」です。全国平均の3倍となっています。合わせて「人口あたり職員数」も全国平均の2倍を超えています。

ただ、地方公務員一般行政職職員の給与の水準を表している「ラスパイレス指数」は、ほぼ全国平均なので、決して寿都町の給与が特別高いわけではないのが分かりますす。また、町のホームページによると町職員数も51人とそんなに余裕のある職員数だとは思いません。

そうなってくると、先ほどの突出している各指数の分母が影響しているものと思われます。先ほどの指数の分母、町の人口です。

千葉県はどうなのか

やはり人口減少が起こってくると、寿都町のように財政破綻の恐れが生じます。千葉県の人口が少ない自治体の状況はどのようになっているのでしょうか。

千葉県で人口が1万人を下回る市町村は8町あります。各市町村の令和2年7月1日現在の総人口数は以下のとおりです。

市町村名人口
(総数)
前月からの
人口増減数
前月からの
人口増減(%)
神崎町5,733人-6人-0.10
芝山町6,959人-7人-0.10
睦沢町6,813人-2人-0.03
長柄町6,728人-2人-0.03
長南町7,424人-8人-0.11
大多喜町8,927人22人0.25
御宿町6,849人-1人-0.01
鋸南町7,165人-15人-0.21
千葉県毎月常住人口調査より

寿都町ほどに人口が減っている自治体はありませんが、一番人口が少ない神崎町と寿都町を比べてみます。

地域経済分析システム(RESAS:リーサス)より
地域経済分析システム(RESAS:リーサス)より
地域経済分析システム(RESAS:リーサス)より
地域経済分析システム(RESAS:リーサス)より

人口推移を比較すると、神崎町では老年人口がまだ20年程度は増えていくという違いはありますが、総人口が減り始めると回復しないところはどちらの町も同じです。寿都町が神岬町の20年程度先を行っているように見えます。ということは、今後神岬町でも、寿都町のような人口減少となり、同様な財政状況になることが予想出来ます。

実際、先ほど寿都町で見た「主要財政指数比較レーダーチャート」ですが、神崎町も職員人件費、職員数の項目が突出しているのは同様です。財政力指数が既に平均を下回っているのはちょっと心配です。出生や死亡を要因とする自然増減を除いた人口の社会増減をみてみます。

地域経済分析システム(RESAS:リーサス)より
地域経済分析システム(RESAS:リーサス)より

表の0から上が転入数、下が転出数です。どちらも、生産年齢である15歳から64歳の人口の流入がここ数年ほとんどありません。逆に流出している状況です。県内へ移動しているのか、県外(東京)へ移動しているのかは今回は調べていませんが、やはり、この流出を抑えないことには、人口減少は続いていってしまうのでしょう。寿都町のような財政困難な自治体は、人口流出が続く限り増え続けるものと思われます。