千葉県では、「男女が互いにその人権を尊重しつつ、ともに責任も分かち合い、男性も女性も個性と能力を十分に発揮することができる男女共同参画社会の実現を目指して」様々な政策を実施しています。
その政策は「男女共同参画計画」という計画を基に行っているのですが、今回第5次計画策定に当たり、県民の意識調査を行った結果が公表されています。

結婚を必要でないと考える人の割合が増えている

くらすちば的に気になるのは、「結婚についての考え方」「出生率低下の原因」辺りです。
「結婚についての考え方」は、「3. 家庭生活について」から確認することが出来ます。
「女性も男性も結婚した方がよい」の設問に対し「そう思う」「どちらかと言えばそう思う」という人は、平成26年度は合わせて74.1%いましたが、令和元年度では69.2%と約5ポイント低くなっています。また、「結婚は個人の自由を束縛するものだから、一生結婚しない方がよい」という設問では「どちらかと言えばそう思わない」「そう思わない」の回答が平成26年度では87.3%ですが、令和元年度では81.2%と約6ポイント低くなっています。結婚を否定的に考える人が増えているという結果になっています。

千葉県 – 令和元年度男女共同参画社会の実現に向けての県民意識調査より

性別別、年齢別の集計結果も確認出来ますが、男性と女性とで回答の傾向が異なっている点は興味深いです。「結婚した方がよい」と考えているのは男性の方が比率が高く、女性の方が低いという傾向があります。また、年代別では男性の30代以上はどの年代も「結婚した方がよい」と考える人の割合が65%を超えていますが、20代は30.8%しかいません。これに対し、平成26年度調査の20代男性の「結婚した方がよい」の割合は65.2%でしたので、約35ポイントも低くなってしまっています。

千葉県 – 令和元年度男女共同参画社会の実現に向けての県民意識調査より

この原因として考えられるのは、回答者の就労状況です。回答者のうち正規雇用の人は、平成26年度が71.9%、令和元年度が63.7%と約8ポイント低くなっており、この影響があるのかもしれません。しかし、回答者の高齢者比率が高くなっているので(60歳以上の回答者の割合 平成26年度45.8%、令和元年度53.7%)、一概にそうとも言えないかもしれません。

少子化の原因は保育や仕事よりも生活苦

少子化については、「9. 少子・高齢化について」から確認出来ます。
「出生率低下の原因」の最も多い回答は、「結婚しない人が増えた」が7割程度となっており、平成26年度調査時と変化はほぼありません。
その他の回答では、「女性が子育てと仕事を両立させる社会的な仕組み(保育・勤務時間・休暇制度等)が整っていない」が平成26年度52.7%、令和元年度42.9%と約10ポイント低くなっており、「収入が低く自分の生活に精いっぱいで子供を持つ余裕がない(子育てに経費が掛かる)」が平成26年度52.3%、令和元年度60.1%と約8ポイント高くなっています。

千葉県 - 令和元年度男女共同参画社会の実現に向けての県民意識調査より
千葉県 – 令和元年度男女共同参画社会の実現に向けての県民意識調査より

この結果から考えると、社会の貧困化が進んでおり、その影響で子供が生まれないと考える人が多くなっていると言えます。昨今、千葉県でも多く取り上げられている児童虐待の問題も貧困家庭によるものが多いように思います。次のような記事もありました。

未婚化や少子化は就労や貧困の問題が原因か?

未婚化、少子化共にその原因には就労や貧困の問題がその根底にあるのかもしれません。ただ、自分の周りでは仕事や金銭に何の不足がなくても結婚をしない人が増えている様に感じます。この辺りは、今回の調査では、「結婚する、しないは、個人の自由である」の設問では「そう思う」「どちらかといえばそう思う」が平成26年度は83.1%、令和元年度は85.8%と約3ポイント高くなり、「結婚は個人の自由を束縛するものだから、一生結婚しない方がよい」の設問では「そう思う」「どちらかといえばそう思う」が平成26年度は1.4%、令和元年度は3.8%と約2ポイント高くなっています。どちらも、わずかではありますが増えています。このような個人(自分の時間、仕事、趣味、環境などだと考えます。)を大切にする人が増えている事が未婚化の原因なのでしょうか。

今回の調査結果から、未婚化や少子化は、「就労や貧困の問題」の解決と「個人の価値観」を変えていくことが必要であると考えました。どちらも難しいテーマですが、くらすちばとして何が出来るか考えていきたいと思います。

くらすちば – kurasuchiba

くらすちばは、結婚し、家庭を持ち、子育てをする、この一昔前は当たり前とされていたことが、小さいけれども最大の幸せであると考えています。今の世の中は、幸せの形も様々ですが、こういった幸せの形もいいものですよって、伝えていく活動をしています。余計なお世話ですが、多くの人がそうした幸せを手にすることが出来る世の中を作っていきたいと考えています。